2007年06月05日

1997年

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愛しいドン


ドンは、もうあんまり外に出なくなった。
下の道が見えるガラス戸の前に寝ている事が多くなった。
そこから外を眺め続け、遠くの道を犬が散歩していると、首を伸ばして見つめていた。
彼は何を考えていた? いや、想像したくない。

仮設は、どんどんと人が引っ越していって、何となく寂れた感じになっていった。
そうすると、どこかから、バイクの若者が集まってきて、夜遅くまで座り込んで大声で話していた。
静かな、穏やかな垂水の、休暇のような生活は終わったみたいだ。

私達も、6月に、灘に引っ越す事になった。



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2007年06月03日

1997年

ドンは、徐々に足腰が弱っていった。
散歩の途中でよろけて、地面の続きと見える、枯れ葉が上に積もったどぶに落ちてしまった。
すぐにはい出してきて、何ともなかったかのように見えたけれど、腰を痛めたのではないかと思う。

その日以来、家では普通に行動しているが、散歩に出掛けると、しっぽがあがらない事が起きはじめた。
箒のように突っ立っていた彼のしっぽは、徐々に下がっていって、身体からまっすぐに後ろに伸びた状態になった。
今まで喜んで先導していた彼が、チラチラとこちらを見て、とぼとぼと歩くようになった。

あの地震の日以来、私にとって特別なワンコになった彼はだんだんと壊れていった。



そしてある日。
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2007年06月02日

1997年

1996年は、不安な気持ちで終わった。

それでも1997年のお正月は、ドンを連れて夜中に海神社に初詣に出掛けた。
人がたくさん居て、この年も並んで参拝した。
すべてがうまくいきますように、とお願いしたと思う。

ドンは、チンチンから出血する事は無くなったが、鼻の横の腫瘍が一気に大きくなった。
それと、肛門の下の匂い袋にも腫瘍ができた。
外に向けて開いているので、どちらもそのままにしておきましょう、という治療方針になった。
ステロイドの量は増えた。

年が明けると、周りの仮設から移転していく人が増えた。
向かいの白い猫の一家も、元の場所近くに建ったマンションに引っ越して行った。
2軒横の親しくなった一家も、高取のマンションに引っ越して行った。

そして、避難所からずっと一緒だったシェパードのシイちゃんも、この冬に死んでしまった。
朝の散歩の時、お父さんが、いつも着けていて、外した事のないシイちゃんの首輪と、引き綱を、軒下に吊るしていたので、どうしたのか聞いた。
1週間ほど具合が悪かったらしいけれど、夕べ急に死んでしまったらしい。
信じられへんのや、と、呆然とした顔をしていた。

ドンは徐々に具合が悪くなっていく。
お正月の一時帰宅以後、退院た母は、90歳を過ぎて足を骨折したので、寝たきりになると言われたけれど、しっかりと起きて歩き出す。

それが1997年の初めだった。

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2007年05月12日

エリザベスカラーを着けたドン。

朝の散歩で、又しても点々と血が落ちた。
再発だ。胸がざくりとした。

今回は手術をする事になった。
高齢なのと、体力が少し落ちているので、リスクは大きいと説明された。
心を決めて、覚悟をして手術をしてもらった。

入院する事もなく、その日のうちに連れて帰れた。
雌犬を見て興奮すると、糸が切れますから気をつけて、と注意された。

思ったより、簡単やったやん、と妹と話し合った。
母の方が、股関節の骨折だったので、金属の間接に取り替える手術をして、まだ入院中であった。

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エリザベスカラーを着けて、情けない顔をしている。
頭の回りに大きく広がっているので、色んな物にぶつかっていた。

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2007年05月10日

美しい夕暮れ

この年、年末に向けていろいろな事が有って、記憶が前後してしまっている。
どれが何処の記憶なのかよく分からない。

美しい夕暮れを覚えている。

午後も遅くなって、妹とドンと平磯の公園に出かけた。
途中で日が暮れて来たので引き返した。
丁度夕日に向かって歩く事になった。
日が沈んでゆく様子をずっと見ながら歩いた。
どんな時でも、太陽が最後に金色の粉をまき散らすようにして沈んでいく、この時間がわたしは好きだ。
この日も、粉が薄れてだんだんと周りが見え難くなって、そばを歩く犬も妹も、雰囲気になっていった。
なぜだかとても落ち着いて、いい気分だった。
すっかりと日がくれてから家に帰った。
家では母が待っていた。

そして、これがドンと出かけた長い散歩の最後になる。
だが、それがいつだったのか覚えていないのだ。

秋に母がベッドから立ち上がった途端に転倒して、足を骨折した。
そして、12月にドンの病気も再発した。

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2007年05月09日

抗がん剤

抗がん剤が効いたのかどうか、出血は止まった。
しかし、食欲が無くなってしまった。

2回目の抗がん剤の注射に行く前には、全然食べなくなって、痩せてしまった。
獣医院で体重を量ると、23kgあったのが、17kgになっていた。
犬は、肉食なので、新鮮な生肉を、口を開けてのどの奥に入れて食べさせてあげてください、という指示があった。

次の注射までそうやって食事を与えた。

3回目の注射に行った時、血液検査の結果、肝機能が著しく悪くなっているのが分かった。
2回でも十分に効きますから、3回目は止めておきましょうということになった。
取りあえず様子を見ましょうということになった。

どうか直っていてくれますように。これが家族の願いだった。





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2007年05月07日

ドン、発病。

次の日、朝の散歩に出かけた。
ドンの様子を見ていたが、いつもと変わりなく元気いっぱいだった。
弾む足取りでわたしの前を歩いていた。
しかし、家からそんなに放れていないアスファルトの上に、急に大量出血をした。
出血量が多くて、大きな血の固まりが出て来た。

ドンが死んでしまう。わたしは叫んでいたようだ。
向かいの白い猫の飼い主が、いったいどうしたんや、と言って顔を出した。
ドンが死んでしまう。それしか考えられなくて、慌てて家に連れ帰った。

どうやって歩いて20分近くかかる獣医院に連れて行ったか記憶がない。
抱いて行ったか?歩かせたのか?

ドンを預けて、夕方、妹と病状を聞きに行った。
チンチンの奥に腫瘍ができていて、そこから出血した事、老齢なので(12歳を過ぎていた)手術にはとても危険があるという事、抗がん剤を勧めます、という事の説明を受けた。

あまり考えられなくて、抗がん剤にした。
3回注射(だったと思う)をする事になった。
最初の注射をして連れ帰った。


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2007年05月01日

兆し。。。

0010初夏の気持ちのいい朝だった。
母とドンと一緒に仮設の周りを散歩して、帰って来た。
ドンは家の側で白い猫を発見して、ダッシュして追いかけて行った。
いつものように逃げられてしまった。
わたしは笑いながら、戻って来て私達の周りを歩き回るドンを見た。


アスファルトの上に、何か見える。
血だ。点々と2滴程。
よく見ていると、また落ちた。
チンチンの先から落ちているようだ。
わたしの心臓がドキドキして来た。
見ていると、又落ちてくる。
しかし、それで止まった。

血だ。どうしたんだろう? と母に言った。
ほんとだ。どうしたのかねえ? と母。
妹に、血が出たと言って、様子を見るように言っといてね。と母に頼んだ。

昼間はそのまま出血しなかったようだ。
わたしは一過性のものかと思ってちょっと安心した。

しかし、夜の散歩に行った時、又何滴か出血したと妹が言った。
医者に見せた方が良いかしらね、と話し合った。





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2007年04月22日

ドンの友、ピキタ君

兵庫に行く用事があると、といつも、以前住んでいた所を通り、ドンの幼馴染みであり、おチンチンの掃除をしてくれていた、ピキタ君の元気な姿を見に行った。
ある日、見かけなかった。
出会ったママに、今日はどうしたの?と聞くと、辛そうに、死んでしまったと言った。
足に腫瘍ができて、階段を上がれなくなり、最後はママの腕の中で死んでしまった、と言った。

同じ頃に生まれて、ともに大きくなった子が死んでしまった。
わたしは愚かにも、ドンはまだまだ元気で良かった、と。思ってしまった。


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まだ鼻の所のできものも小さい頃のドン

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2007年04月19日

ドンの事。

それでも彼は、十分に元気だった。

前の仮設の家族が、白い猫を飼っていた。
キャットハンターであるドンは、見かけるとダッシュして追いかけていた。猫の方が素早くて、いつも家の中に逃げ込まれていたが。

予防注射に獣医院に行って、軽く診察台に飛び乗り、この年で、まだ飛び上がれるのかと感心された。
その帰りに、階段好きのドンにお誂えの、見上げるような白い(何故かそんな色の記憶だ)階段を見つけて、喜んで登って行った。
人間の方が途中で参ってしまいそうだった。

階段を下りる時に、最後の何段かを飛び降りるようになったし、傾斜面を登っていて後足がかすかに震えたりするのに気が付いていたが、あまり気にしていなかった。


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2007年04月18日

ドンの事。

永い事、ドンの事を書かなかった。
忘れていた訳ではない。
流しに立って洗い物をしている時など、垂水で散歩していた元気な姿がしょっちゅう目に浮かんだ。

彼は、垂水に引っ越して、次の年の桜の頃までとても元気だった。
かなり遠くまで福田川沿いに歩いて、桜を見に行った。
満開で、川に垂れかかった桜が美しい所があって、来年は妹も一緒に来ようね、と、彼に言った。

しかし、見過ごしていたと言うか、無視してしまっていたけれど、少しずつ変化があった。

目と目の間の鼻の所に、小さなできものが出来た。
公園で、知り合いになった若い雌犬の走りに、ついて行かなくなった。
これは、目が悪くなったせいかと思っていた。白内障が進んでいるように見えた。

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2006年11月02日

ドンの命日

ドンの目実は、今日がドンの死んだ日だ。
もう8年も前になる。
月曜日で、私は夜ホビールームで、彫金を教えていた。
8時過ぎに、防災センターから呼び出しがあって、家から緊急の電話が入っていると言われた。
電話に出ると、妹が緊張した声で、薬を飲ませたら息をしなくなった、どうしよう、と言っていた。
医者に連絡したかと聞いたら、夜間で出ない、と声を詰まらせながら言った。
9時に終わったらすぐ帰るからと言って、電話を切った。

朝、家を出る時に見たのが、彼の生きていた最後の姿になった。
歩けなくなった彼の横に、私も横になって、ドン、行ってくるからね、と挨拶したのだった。

その時の彼の目が、この写真と同じ。
この写真、長い事見る事が出来なかったけれど、改めて見た時に、撮っておいてよかったと思った。

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2006年10月10日

忘れ物

don-7

ドン、こっちを向いて・・・


垂水に引っ越しをして、落ち着いた気分になった頃、
兵庫区役所の保健所からドンに狂犬病のお知らせが来た。

!!!ドンだけ兵庫に忘れて来てしまった!!!

人間の転居届は出したけれど、
犬も転居届を出さなければならない事を知らなくて、
出していなかったのだ。


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2006年10月03日

ドンの死

わたしがお邪魔するブログに、オリーブ工房の看板犬という美しブログがあります。
10月1日の記事に、動物病院で亡くなった犬の事が書かれていました。

ドンが死んだ時の事を思い出してしまいました。

彼は病院で処方された精神安定剤を半錠飲んだだけで、急死してしまいました。
祭日で、病院に連絡がつかず、次の日に電話すると、「あの薬で死にましたか。そんなはずないですがねえ。」という返事でした。
それだけ?それだけしか言わないの?
人間だったら、そんな事じゃ済まないでしょう?
そう言いたかったけれど、涙でぐしょぐしょになって、何にも言わずに電話を切ってしまいました。

その後、犬仲間から、あの先生はよく診てくれるいい先生だという噂を聞きました。

もしも、もしもね。。。
ドンの事で反省して、ちゃんと診るようになってくれたのなら、ドンの死は無駄ではなかったな、と思う時もあります。

アールは絶対に連れて行きませんけれど。。。。。
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2006年01月10日

ドンの首輪

ドンの首輪ドンの遺品です。

ドンの事を書きたいと思っている。
計った訳ではないのに、神戸に地震があった1月17日と重なりそうだ。
その日が近づくと、毎年、心が揺れる。
だから、何も書けません。
落ち着くまで、もう少し待ってください。
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2005年12月18日

初めての時

神社で、茅の輪潜りがあって、後でそれを燃やした。
ドンと行った時は、もう火は消えていた。しかし彼は、その中の熾きを拾おうと、鼻を突っ込んだ。
熱かった。慌てて鼻を引っ込めた。それから、ブルブルとかわいらしく頭を振っていた。

初めて階段を降りた時、彼はどうしても最初の一歩が踏み出せ無くて、一番上でぐずぐずしていた。
私がどんどん先に降りて呼ぶと、震える前足をやっと踏み出した。落ちそうな勢いで、私のところまでやって来た。
そんな彼は、後にとても階段好きになった。見かけると、どうしても登らずにはいられないらしく、腰を痛めた後も、途中で動けなくなったが、やっぱり登って行った。

彼は寝る前の散歩の後、体を拭いた。初めて拭いた時、水の入った大きな洗面器をくわえて引きずった。まだ子犬だったのに、顎の力の強さにびっくりした。

最初の年は、色々と面白い事をしてくれた。思い出すと、懐かしくて、なんだか泣きたい気分になる。
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2005年12月17日

初めてのクリスマス

暗い話で、気が滅入ってきた。

今日は、ドンの初めてのクリスマスの話にしよう。

まだ1歳になっていなかった。三月生まれだから、9ケ月かな。
クリスマスケーキを買って来た。
数本のローソクが付いていた。
ローソクの光なんて、素敵だ、と思い、火を灯して電気を消した。

私達の影が部屋の中に大写しになって、ユラユラと揺れた。
いきなりドンが、ワンワンと激しく吠え出した。
おまえ、臆病だな。でも、かわいい。

後でケーキが貰える事が解って、次の年からは静かに待っていた。
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2005年12月04日

ドンの遠吠え

ドンは家に一頭で残されると、遠吠えをした。
家からそんなに離れていないうちに、最初のウォ〜ンが聞こえた。
大した用事でない時は、かわいそうだと、そこから母は戻っていった。

お隣の奥さんが、犬が鳴き出すから、みんなが出かけことが解ると言うので、一時間程、テープレコーダーに録音をした事がある。


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2005年11月28日

ドンのモーニングcafe

始めは牛乳だけだったのだが、私達の飲んでいたコーヒーを混ぜてみると、とてもおいしそうに飲み干して、入れ物まで洗って返してくれた。本当に洗わなくても良いくらいにきれいに舐めてあった。
その日から、牛乳だけでは、何か入れ忘れていますよ、と言う顔をするようになった。

そして、朝食は、バター付きのパンにカフェオレになった。
私は犬と同じ朝食をしていた。
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2005年11月27日

散歩の準備運動

夜の散歩の係は妹だった。出かける前にいつもトイレに行く。
すると、ドンが真ん中の部屋にやって来る。聞き耳を立てて、待っている。
耳が立っていた時は、ピンと立てて、壊れてからは、それなりに持ち上げて。

カラカラとトイレットペーパーの回る音が聞こえると、ウォンと一声鳴いて、身体を回転させながら飛び上がるのだ。何回か飛び上がって、聞き耳を立てる。又飛び上がって、聞き耳を立てる。妹が出て来るまでそれを繰り返した。
古い文化住宅だったから、家が揺れた。

キタキツネが回転しながら飛び上がる映像を見た事がありますか?あれです。
私達は、ドン踊りと呼んでいた。
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