ドンは家に一頭で残されると、遠吠えをした。
家からそんなに離れていないうちに、最初のウォ〜ンが聞こえた。
大した用事でない時は、かわいそうだと、そこから母は戻っていった。
お隣の奥さんが、犬が鳴き出すから、みんなが出かけことが解ると言うので、一時間程、テープレコーダーに録音をした事がある。
まず、私達が出かけるとすぐに、最初のウォ〜ンの一声が上がった。犬は耳がいいから、まだ私達の足音が聞こえていると思われるうちにだ。
それから少し間が開いて、もう一声ウォ〜ンと鳴いた。少し高めのなんとも悲しげな声だ。
また少し間が開いて、もう一声ウォ〜ンと鳴いた。
次に、ヒュンヒュンと鼻を鳴らす音が聞こえて、ハーッとため息をついた。
また鼻を鳴らして、時々彼が寝ている、ロッキングチエアーに登ったらしい、ギシギシとチエアーの揺れる音がした。
あとは、時々ヒューんと鼻を鳴らすか、ハーッとため息をつくか、フニャフニャと文句を言うかをしていた。
そんなテープは無くなったと思っていた。
地震の時に取り出せたテープがあった。
妹が、何が入っているのか聞き返していたら、彼のウォ〜ンが聞こえて来た。
それを私に聞かせてくれた。
彼は居なくなったが、声だけが残っていた。
2005年12月04日
この記事へのトラックバック
なんか、胸がキュッとして
最後の1行で目が潤んでしまいました。
きっとドンちゃんは、虹の橋の向こうで
皆の事を時々思い出しながら・・・
走り回っていると思います。
あいつはね、寂しがりやだったから、
何処にもいけなくて、その辺をウロウロしているんじゃ無いかな、と思うの。
その方が私は嬉しいかな、と思ったりしてね。