2005年11月26日

お調子者

ドンはしょっちゅう医者に行かなくてはならない。けれど、彼は行きたくないと思っていた。
すぐ手前の道を左に曲がって逃げようとする。
ある日、ひょん♪ひょん♪ひょん♪と、言いながら、道の少し手前からリズムを付けて歩いてみた。
私の顔を見上げた彼は、おっ、新しい遊びだと、パッと顔を輝かせた。
彼もリズムに乗って歩きだした。道を渡った。
そしてそのまま獣医院のドアを開けると、ぴょんと飛び込んだ。

それ以来毎回その手を使った。毎回彼は喜んで歩いた。

でも私は疑っていた。私に合わせて遊んでくれていたのではないかと。
彼は、そんな気遣いをする犬だ。耳が壊れても、同じだった。
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2005年10月24日

匂い付け

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散歩の途中で匂いを付けて歩いているドン。

彼はうんちをする時も、おしっこが出てしまう犬だった。
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2005年10月12日

犬の睡眠

犬は寝言を言うものだと思っていた。しかし、ドンは一度も言った事がない。あまり静かに寝ているものだから、死んでいるのかとじっと見てしまった。おなかが上下しているので安心をした。

アールはよく寝言を言う。手足をばたばたさせて、悲鳴に近い声を上げる時もある。大きい犬に脅されるとか、何か昼間に恐い事があると、特にそうだ。大丈夫だと声をかけると静かになる。

反対に、硬直してしまう事がある。白目を剥いて、揺すっても起きない。名前を呼んでも反応しない。手足が硬直してしまって、そのまま持ち上げる事が出来る。そうやって触っているうちに、迷惑そうな顔をして動きだす。

熟睡であればいいのだが、金縛りだろうか。
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2005年10月11日

ドンという犬

彼は最初から家の中で放していた。犬が不潔だと感じなくなっていた。前の犬への贖罪の気持ちもあった。

いつも彼は、犬小屋か、表の部屋の机と白い家具の間で寝ていた。どちらも前の犬が寝ていた所だ。
そこで満足していたのに、ある夜、三人家族が川の字で寝ていた布団に呼んだ。え?!と言うような顔をした。もう一度呼んだ。おずおずとやって来て、妹の布団の足元に乗った。こちらの顔を見ている。もっとおいでと呼んだ。良いのかな?と言う顔で、私と妹の間にやって来た。そしてそこが夜寝る時の彼の定位置になった。気持ちがいいと、犬として、手足を広げられるだけ広げて、おなかを見せて大の字になって寝ていた。寒い冬には、妹の布団に潜り込んで寝ていた。

私の犬になれといったのに、妹になついてしまった。
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2005年10月10日

シロ

前の犬と敵であったシロは、まだ健在であった。
もはや、走っている車と遊ぶような昔の敏捷さは無くなっていた。最後の頃は腰が沈み、後ろ足を引きずるようになっていた。それでも、ドンを襲いに来た。多分私の匂いを覚えていて、前の犬と間違えていたのだと思う。ドンは自分より体格の小さい犬とは喧嘩をしないので、いつも大慌てで逃げていた。

シロが死ぬ前の日、彼は1日中鳴いていた。
次の日に、静かになったので、彼の飼い主に聞いたら、夕べ死んだと言った。
19歳という長寿だった。
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2005年10月09日

ドンという犬

don-1don-2

私にはかわいく見えるけれど、おかしな犬かしらねえ?
写真はちょっと変だけれどね。
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2005年10月01日

ドン、という犬

この地域は、商店街があり、市場があり、銭湯が数軒あり、小さな町工場があって、にぎやかな雰囲気の所であった。人柄もおおらかで、世話好きで、野犬が数頭いたけれど、皆名前を付けられ、何となく世話をしてもらっていた。そして犬たちも結構放れていた。別にトラブルなんかなかった。私は何処でもそんなものかと思っていた。

地震の後、垂水区の住宅街の中にある仮設に移ったが、犬たちは皆番犬のように見えた。いま住んでいる灘区も住宅街であり、アールの友達もいるけれど、放されてはいない。

あの地域が特別だったに違いない。何と伸び伸びした所だったのだろうか。ドンもほとんど繋いだ事がない。そのせいか、とても穏やかな犬に育った。彼と居ると、時間がゆっくりと過ぎていった。
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2005年09月30日

ドン、という犬

1年経つと、ドンは立派な大人になった。前の犬の1.5倍になった。白っぽくなると思われていた毛色も、なぜか茶色になり、明るい日差しの中では、赤毛に光る部分もあった。

家族は、シェパードを思わせる体型だと思った。子供たちは、長い犬が来たと言う。家族は、アーモンドみたいな形をした素敵な目と、ちんまりした鼻を持つかわいい顔になったと思った。通りすがりの人は、おかしな顔と言う。私が、謙遜しておかしな犬で、と言ったら、近所の人がそうね、と言う。なぜか見え方が違うみたいだ。
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2005年09月29日

ドンとアール

ドンと遊ぶ方法を考えた。手袋をして(していないと歯が当たって痛い)両手を使って、速いスピードで彼の身体にタッチするのだ。耳、手、足、身体、鼻の頭、足、手、お尻というように。すると彼は私の手を追いかけて身体をよじる。必死に追いかける。目の色が変わってくる。そうなると、彼の身体の横を押してよろめかせる。彼はよけい激しく動く。
結構私の反射神経も使う。彼も私も疲れてくる。私の両手を打ち合わせて、「お終い」と言って、お終いにする。彼は楽しそうだった。革の手袋をすると、目を輝かせて、待ち構えていた。勿論私も楽しい。

同じ事をアールにしようとした。始めは逃げて行った。何回かするうちに、じっと立ってされるままになり、私のする事を観察をしていたが、いきなり腕の付け根に飛びついた。もしかして!?こいつは賢いのだろうか!?しかし、これでは遊びにならない。楽しくない。遊び方を知らない犬だ。
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2005年09月28日

ドンとアール

この事で、彼は私に距離を置くようになった。私をじっと見ていて、おいでと言わないと来なくなった。そしてその分、妹にべったりとくっ付いていた。

まだ私が優位に立っていない頃、同じ事を、いま飼っているアールにしようとした事がある。しかし捕まえた途端に、すごい唸り声で私を脅し、暴れて噛みつこうとした。掴み続けられず、手を離すと、隠れ家にしている机の下に逃げ込んだ。そこから目を真っ赤にして歯を剥いて脅し続けた。彼は興奮すると目が赤くなる。初めて来た頃も、赤い目をしていて、こいつは本物のデヴィルかと思った。

野犬だったせいかどうか解らないが、彼は人間をあまり信用していない臆病な犬である。自分の身に危害が加えられそうになると、脅して近づけまいとする。近づくと、噛みつく。だから彼の場合は、この方法では失敗だった。
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2005年09月27日

ドン、という犬

友達が出来た。ショウちゃんと言う商店街の薬局に飼われている、むくむくの毛をした大型犬をボスとするグループだ。雌1頭と4、5頭の雄がいた。家具屋のピキタと言う雄犬。この犬とは、うちの家族が引っ越しをするまで友達だった。うちの犬は絶対におチンチンを掃除しない犬で、私達が拭いてやるか、ピキタが舐めるかしていた。

このグループで、じゃれあう事を覚えた。結構激しく取っ組み合っていた。彼は興奮してくると、目が深い青になる事を発見した。

その勢いで私達にかかってくるようになった。6か月頃になると、前の犬程の大きさになり、まだ成長していた。それに、彼の母犬は、猪に襲いかかり、車に体当たりし、子供が泣き出すまで追いかけると聞いていた。今のうちに上下関係をハッキリしておかないと、前の犬のようになると思った。だから、ぶつかって来た時に彼を掴んで畳に投げつけた。

びっくりした彼は、部屋の隅で小さくなっていた。
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2005年09月26日

ドン、という犬

彼は、おなかが床につかなくなると、ジャンプする事を覚えた。何度も私達に飛びついては、鋭い子犬の歯で噛みついた。何度追い払っても飛びつくので、私は彼を、タスマニアンデヴィルと呼んだ。毛色こそ違うが、鋭い歯を持った肉食獣に似ていた。
急に飛びつくのが止まったと思うと、飛んで落ちた姿勢のまま畳の上で眠り込んでいた。

もう少しジャンプできるようになると、座った私達の耳が攻撃の対象になった。どれだけ痛いか教えてやろうと、私はキャンと言うぐらいきつく彼の耳に噛みついた。それ以後は、私の耳を攻撃しなくなった。

もっと大人になると、ジャンプして、飛び立とうとする鳩を手で叩き落とす事が出来た。この犬は、老齢になるまでジャンプを続けた。13歳間近の時、動物病院の診察台に軽く飛び乗って、まだジャンプが出来るんかと、獣医に驚かれた。

私は、この犬との時間をみんな覚えておこうと思った。
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2005年09月25日

ドン、という犬

一目見て、ぎょっとした顔をした妹は、それでも黙って連れて帰った。

芦屋の山の手から神戸の下町に来た、生まれて35日目の、白っぽい薄茶の犬は、来た日から家に馴れた。ずーっと住んでいた様に、平気で用意してあった段ボール箱の中で眠った。一応親の匂いのついたタオルを入れておいたが、夜寂しがって鳴く事もなかった。

どう見ても、鈍臭い犬にしか見えないので、ドンと名付けた。人には、首領のドンだと言っておいた。

1週間に倍の大きさに成長する彼は、見る間にスマートになり、細長くて、くたくたと骨無しみたいな、体の柔らかい犬になった。そして滑稽な顔になっていった。来た時は白目がちの三白眼だった目が、奥目になって、故岡八郎氏には失礼だが、そっくりになった。なんとも変な犬が来たものだと思った。
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2005年09月24日

ドン、という犬

私は、神戸の三宮という所で、彫金の仕事をしている。
22年ぐらい前、うちのアトリエでアルバイトをしていた子が、知り合いの家に子犬が生まれたけれど貰ってくれないかしら、と言った。2頭しか生まれなかったけれど、雄の方が雌の分のお乳まで飲んでしまって、雌が弱って来たので、至急貰ってほしいと言った。

うちは今、前の犬が死んで、家の中がすごく暗くなっていたので、私は欲しいと思った。母もその時は仕事を辞めて家に居たが、一人でいると考え込んでしまうので、欲しいと言った。妹だけが反対した。しかし貰う事にした。

前日に、親を恋しがって鳴くかもしれないと思って、親のにおいを付ける為にバスタオルを渡した。彼女の家に一泊した。タオルには寝なかったわよと、彼女は東京の人なので、威勢のいい言葉遣いでそう言った。全然違うものの上で寝たらしい。

次の日に、初めて彼を見て驚いた。こんなに肥っていたのか!!
まるで先日テレビで見た、デブ猫そっくりじゃないか!!
おなかが床にくっついて、よたよたと引きずって歩いていた。
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